サビアン度数の立体感3

今日は最後となる活動サインの4度について見てみたいと思います。

山羊座4度には、自分の出生の感受点としてリリスがありますが、これまでは主立った天体以外に目を向けることはほとんどありませんでした。

けれども、ある天体のサビアン度数に対して、それに対向したりスクエアに位置する度数のイメージが強く関与してくることを考えますと、天体以外の計算上得られる感受点というものについても、天体はそこにはないのだけれども、それなりに大きな意味を持ってくるポイントとなる可能性が高い、ということが考えられるのではないかと思います。

まずは、地の活動サインの山羊座4度と水の活動サインの蟹座4度の比較です。

(CAPRICORN 4 °): A GROUP OF PEOPLE OUTFITTING A LARGE CANOE AT THE START OF A JOURNEY BY WATER.
(私訳):水の旅路の出発に備えて大きなカヌーを装備する一団。
(CANCER 4 °): A CAT ARGUING WITH A MOUSE.
(私訳):ネズミと論争をする猫。

一見しただけでは分かりにくいのですが、山羊座ではある大きな目的を果たすために仲間と一致協力し合う姿勢というものが示されており、蟹座では双方の意見を主張し合うといったように、相反した態度が表現されていると感じられます。

それぞれのサインの社会と家庭という枠組みにおける、スタンダードな在り方が示されている、というようにも思えます。ネズミと猫は親子もしくは兄弟といった感じのイメージです。
社会は氏素性の異なる者同士が前提の共同体ですから、まず最初に協調・協力の姿勢を互いに見せ合うということが非常に大切な基本となります。
一方家族という共同体では、成員それぞれが共同体の重要な柱となりますので、それぞれの感情的満足が得られる形で方向性が見い出されていくような姿勢がないと、その共同体が活力を失っていくという側面があるのだということがあるのではないでしょうか。お互いの気持ちや言い分をよく知り合う姿勢があってこそ家庭が共同体として健全に機能し、持続していけるのではないかということです。

続いてはこれらに対して90度に位置する風の活動の天秤座4度と火の活動サインである牡羊座4度です。

(LIBRA 4 °): AROUND A CAMPFIRE A GROUP OF YOUNG PEOPLE SIT IN SPIRITUAL COMMUNION.
(私訳):霊的な集まりでかがり火を囲んで坐っている若者のグループ。
(ARIES 4 °): TWO LOVERS STROLLING ON A SECLUDED WALK.
(私訳):わき道をぶらついている恋人達。

これもちょっと分かりづらいですが、極度に精神的部分での連帯性を重んじる一団と、一方は肉体的・感情的レベルでべったりくっつき合ってしまっている恋人同士、というように、やはり相反する構図になっていると感じられます。

風のサインである天秤座においては思想に基づいた精神的な連帯性が、火のサインである牡羊座では性的な結合状態が端的に表現されているということです。

スクエア同士の関係では、ここでは地と風、水と火のコンビネーションで捉えると分かりやすいかと感じます。
蟹座のネズミと猫というコンビネーションは、牡羊座において恋人達として表現されているものと同じ対象であるように感じられます。
蟹座4度においては感情的なものを背景にした双方の意見が主張されると感じられますが、牡羊座4度では面倒なやりとりは取っ払って、互いに性的な魅力で魅了し合ってくっついてしまっているところです。

恋人同士というのは、絶えず性的に強く惹き合うことと、感情的な反発とを、交互にシーソーのように行ったり来たり繰り返す存在なのではないかと思います。
ここではスクエア同士の度数が双方で中和・補完的な働きを持っているというように感じられます。

山羊座4度と天秤座4度では、現実的な作業を通じた組織的連携体制というものと、心霊的なものを介した精神的な連帯ということで、ここでも双方が中和するような内容が表現されています。
共同体には思想的親和性というものが欠かせない一方で、実際に汗水流して働いた上ではじめて得られる連帯性という、質的に異なる要素が必要であることが、相補的に示されている部分があるのではないか、ということです。

対向する度数同士においては同質なものが対極的な表現として表されており、対向するそれぞれの中には対向度数で表現されるものが動機として含まれているように感じられます。
例えば山羊座4度のような共同作業において、蟹座4度のような感情的な葛藤は常に内在しているし、蟹座4度の状態においては状況が解消された姿として山羊座4度の内容が意識されているということです。
天秤座と牡羊座の例においても、精神的結合と性的結合というのは、一方が因、もう一方が果としての役割を果たしているように感じられます。

スクエアの位置同士のものは、双方に対して批判・教育・中和・補完し合うような性質のものが表現されていると感じられます。やり方を変えれば違った結果が得られるということを批判的に示している教育的な内容のものとして感じられるものが多いと感じられます。

以上についてざっくりと大雑把に見てきたところですが、ところで山羊座4度にあるリリスですが、自分にとってどんなことを意味するのでしょうか。この感受点にあまり関心を持ったことがなく、これまで考えてみたことはありませんでした。

まず、リリスとは月の遠地点でありダークムーンとも呼ばれる場所とのことですので、そのことからイメージされるのは、抑圧された感情が示されるポイントであるということになるでしょうか。
一般的には性的なものごととの関連性を示すというように言われているようですけれども、抑圧された感情について、性的なものだけがクローズアップされる理由がまったく分かりません。何だかフロイトのリビドー論において感じられるような偏向性を感じます。

ユングはリビドーを心的エネルギー全般を表すものと解釈し直したようですが、リリスもそのように性的なものごとに偏向せず、抑圧されがちな感情一般の傾向として捉えた方がよいのではないかと感じられます。

山羊座4度というのは、要するに自分の持つ社会性というものをスタンスとして確立し、それを対外的に示すことであると考えられますので、上のサビアンでも示されているように、社会的共同体の中での協力的姿勢を示すということになろうかと思います。

これは、自分のもっとも苦手なことであり、抵抗を感じることであるというのは間違いありません。そこには理由的なものは一切なく、生理的に駄目なのです。社会的立場においても飽くまでも個人としての立場を貫いた振る舞いをしてきました。職業的な立場や役職が個人に先立つことが許せないという気持ちがとても強く、組織の考えに盲目的機会的に従う姿勢も微塵も持つことができませんでした。

このリリスに加えて出生太陽が水瓶座の4度ということですので、自分としては水瓶座的なスタンスの確立ということが主眼にあるので、尚更そういう風にしかならないのが当然といったところでしょうか。

そして、最終的には土星のある魚座4度に帰着しようとしている訳であり、そのサビアンシンボルは「二つの海岸リゾートを結ぶ狭い地峡のひどい交通渋滞」というものでしたが、渋滞というのは魚座が志向する性質である集合性というものを表している部分もあろうかと思われます。

水瓶座は普遍性を志向しながらも、社会という枠組みを離脱したところでやはり個の持つ独自性というところに依存する傾向を持つのではないかと思います。
飛び抜けた個性の中に普遍的な真実を表現したいのだという気持ちがあるのですが、正反する獅子座的な個の在り方とは方法論的に相反しながらも、やはり個性という部分に強く捕らわれてしまっている部分があるということではないでしょうか。
魚座4度においては、それすらもかなぐり捨てて、個としての無である人類の霊的な集合状態へと回帰して行こうということになるのかも知れません。

山羊座4度のリリス、水瓶座4度の太陽、魚座4度の土星という連続した3つのサインで同じ度数を偶々持っていましたが、一続きの同じ度数ということで、そこにはストーリーを感じさせるものがあるというようにあらためて感じることができました。

これで、すべてのサインの4度を掻い摘まんで見てみたことになりますので、次はこれら12サインそれぞれの4度を比較検討して、4度という数字そのものについて、エレメント毎に数字の現れ方がどのように違ってくるのかなどを焦点に考えてみたいと思います。

今日の活動サインで見たものに限れば、4度は何れも共同体に関連したものとして、その在り方の4態が示されていたと感じられます。次は不動や柔軟ではどうであったかを振り返って考えてみたいと思います。

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