ホロスコープと運命② ~ライフサイクル~

ライフサイクル

ホロスコープにおきましては、様々な天体による様々な周期のサイクルが、複雑な形で関与していますけれども、人生を考える時には、まず最初に最も基本となるライフサイクルというものを念頭に置いておくことが必要であると考えられます

ルドルフ・シュタイナーは人生を7年周期として考えていましたけれども、土星の約30年周期と木星の約12年周期がそれぞれ人生にもたらす影響につきましても、一定の重要性を持つものとして認識していたようであり、『土星生命が太陽に覆い隠されると、感覚のいとなみが特別刺激されます。木星生命が太陽に覆い隠されると、人間の神経のいたなみが刺激されます。』(「星と人間(風濤社)」)と、いうように語っています

土星と木星が太陽に覆い隠されるというのは、この表現からだと分かり難いですけれども、他の部分の記述も参考にしますと、どうやらそれぞれの惑星回帰について語っているようです

また、特に土星に関しましては、『土星の作用は本来、人間のいとなみ全体に及んでいます。人間のいとなみ全体は、30年経つと、新しい段階に入ります。私たちの成長は、30歳で完全に停止します。・・・土星は太陽のまわりを巡るのに30年を要します。これは、人間に合わせた年月です。』(出典同上)と、語っています

土星の約30年の公転周期と木星の約12年の公転周期の最小公倍数として、大体60歳くらいの時に土星と木星の刺激を一緒に受けることになり、もう少し正確に計算しますとちょうど59歳になりたてくらいの時期となりますけれども、実際には惑星の公転速度には緩急のバラつきがありますので、惑星回帰の実際の時期は人によって多少の誤差が出ます

東洋における十干十二支も60年で一巡して還暦という大きな節目を迎えますけれども、期せずして西洋占星術におきましても、土星と木星という人生のライフサイクルに最も大きな影響を与える二つの惑星の公転周期の最小公倍数によって、大体60年が大きな節目として考えられることが分かります

大雑把に言いますと、30歳付近で折り返しをして60歳付近までに人生の一応の完成を目指す、という大枠の中で、更に12年周期の木星に関わるサイクルが関わってくることになります

人生の最も大きな節目としましては、30歳手前のサターン・リターンと、60歳手前のグレート・リターン期(木星と土星の回帰が同時期に重なることで、わたしの勝手な命名です)とを考えることができます

更に詳細なサイクルとしまして、西洋占星術におきましては、各惑星に年齢域を当てはめていますけれども、流派などによって多少のバラツキはありますものの、基本的には、月、水星、、、、と進んで行く毎に、それぞれの惑星が担当する期間が1年ずつ増えていくような計算方法がベースとなっています

またルドルフ・シュタイナーは、人生を7年周期として考えており、0から21歳までの学習をする期間、そこから42歳までの経験を積む期間、最後の63歳までをライフワークを完成させる期間というように、7年×3の3セットで人生を考えていました

ちなみにここで語られているサイクルのすべては、男女間や個人間で見られる成長速度の違いというものを度外視したものであり、常に一定のファジーさを含んだものだということは忘れてはなりません

そもそも、わたしは惑星の年齢域というものにつきまして、あまり当てにしていないところがあります

と言いますのは、人間の成長速度に一定の共通性が当て嵌まりますのは、金星の段階くらいまでと考えており、その後の成長過程は個人間で非常に大きなばらつきが出てくるものと感じています

月と水星と金星に関係する要素のうち、それらの基本的な部分と言いますのは、人が生物または社会的存在として生きていく上で最低限必要不可欠なものとなりますので、一定程度は誰においても一様に開発されるものとなります

しかし、太陽の自我による自律的に主体性を持って生きる段階以降につきましては、その進展は各個人の意志に委ねられており、太陽以降の惑星の開発を積極的に行っていく人の割合と言いますのは、全部が一様にそうであるとは到底考えられませんし、それが更に火星、木星、土星と進んでいくほどに、それぞれの惑星が有する課題にまともに向き合っていく人の度合いというのは少なくなっていく、というようなイメージを抱いているところです

ですから、惑星の年齢域というものを杓子定規に当て嵌めて考えるというのではなく、実際にその人がどの惑星についてどの程度発達させているのか、という部分を注視しながら考えていくのでなければならない、というように考えているところです

また、水星や金星などに関わる資質や能力に関しましては、基礎的な部分の開発は大体それぞれの年齢域までに終えている必要がありますけれども、その年齢域以降におきましても、更に高度な部分につきましては、既に開発された基礎的な部分を土台として、更なる開発を進めていく余地があるのだ、ということも意識していなければならないものと考えます

つまり各惑星の働きには、人として生きる上でベースとなる基礎的な部分と、そこから更に発展させていき、より高度な次元で発揮させるくことのできる部分とがある訳であり、単に惑星を年齢域に当てはめるという奥行きのない考え方に留まってしまうのではなく、個々人が主体的意志に基づいて開発していく創造的な部分というものについて、もっと目が向けられるようにならなければいけないのではないかと感じられるところです

人生を統括する土星

さて、シュタイナーがいうように土星の周期が人間に合わせたものであり、その作用が人生の全体にわたって作用し、人生を全うさせる役割を持っているのであれば、7年周期の考え方と土星の周期とを合わせてライフサイクルを次の様に考えてもよさそうです

土星が約7年毎に90度、180度、270度、0度というアスペクトを形成し、それが人生の主要な節目を形成してライフサイクルを司っているという考え方をしてみました

最初の7歳となるくらいの節目というのは、ちょうどこの頃には小学校へ上がって本格的に教育が開始される時期です
次の節目となる14歳になる頃は、受験が強く意識され始めたり、人生で最初の進路選択が迫られる時期となります
そして次の節目の20歳を過ぎた辺りが、大学の卒業等で本格的に社会進出をする時期
やがて30歳を間近に控えた頃となりますと、それまではある程度自己中心的な生き方が許されていた青春期を完全に卒業し、社会的人格の完成が強く意識されてくるなど、強いストレスが掛かってくる時期を迎えます
それ以降は割と適当に当て嵌めていますので、その旨ご承知いただいておきたいのですけれども、30代後半には中堅的な役職についたり、後輩を指導するような立場への移行があり、次の40歳半ば頃は中間管理職的なポジションに立つなど、完全に体制側に立たされて甘えが完全に許されなくなるような時期と言えるでしょうか
続いて50歳になる頃は肉体的には如実に無理が効かなくなってきたり、またそろそろ親が亡くなったりもする中で、自分の人生の終局も間近に感じられて来るために、自分の人生で成し遂げておかなければならないことに強く意識が向かうことになるでしょう
60歳間近となる
二度目の土星回帰付近では、人生の総括がなされて、大体自分の人生はこんな風だったなと振り返ることができるような時期となりますけれども、この頃に木星の5度目の回帰も重なってくる、わたしの言うグレート・リターン期を迎えますので、ほっと息がつけて、それまで頑張ってきた人生からの解放感も味わうこともできる時期となるのかも知れません

以上の様な形で、人生の主要なライフサイクルは完全に土星によって司られているのだと考えますけれども、エドガー・ケイシーのリーディングにおきましても、土星は変化や新しい状況の始まりと関係するともっぱらに言及されていますので、やはり人生に節目を与えているのだということになるでしょう

ギリシャ神話にはクロノスという時の神がいますけれども、クロノスはローマ神話に出てくるサートゥルヌスと同一神とされており、サートゥルヌスとは英語読みではサターン、つまり土星のことですので、土星が人間の時を司って人生のライフサイクルを管理しているということは、至極当然の成り行きということになろうかと考えられます

時の神としての土星の働きは、人間が一生の間に人生の課題をきちんとクリアできるようにと、達成が遅れていたり不十分である課題に関して、遅れを取り戻させるたに、節目節目で試練を与えてくれる訳なのですけれども、それは出来の悪い生徒にわざわざ補講をしてくれる教師のような大変有り難い存在でもある訳です

土星は骨格や皮膚という象意を持ちますけれども、土星は人生の軌道から外れてしまうことのないように人を支えてくれているバックボーンとして機能しており、また土星の役割から考えれば、人生の課題の達成に対して不適切で不要な経験に対しては、それらを撥ねつけてガードしてくれる強靭な外皮としての役割も担っているのではないかと、個人的には考えているところです

人生という学校におきまして、人は土星という厳しい教師によって躾けられ、また外の悪い環境から守られつつ、魂の学びと成長にいそしんでいるのだということになるでしょう

また、出生と経過の土星とで形成される120度のトラインにつきましても目を向けてみますと、土星には30年割ることの3で約10年の周期というのも見えてくることになります

これは60歳までの人生の完結までに6つの節を形成するものとしてと考えることが出来そうであり、それはあたかも竹の節のように人生にしなやかな強靱さというものを与えてくれるもののようにも考えられます

ちなみに次の様な図で考えてみますと、この土星のトラインの周期は60年で正六角形を形成することとなり、その中に六芒星を見出すことが出来ることが分かります

六芒星のことを古来日本では籠目紋と呼びますけれども、何れにしましてもこれは偉大なる調和と完成の象徴であるとともに、強力な魔除けの印でもあります

先ほど上でも述べましたように、人生で学ぶべき課題に関係のない事象から、我々の人生を強大な力でガードして守ってくれている強靱な外皮としての役割について、改めて想起させるものではないでしょうか

精神を統括する木星

人生を意志の力によって創造的に発展させようという場合に、もう一つの重要な天体として木星があります

シュタイナーは、『人間の中で思考として発展するものは、最初の12年間に作用します。12年で天空を巡る木星が、人間に関与します。』(同上)、としているのですけれども、わたしは木星が人間の精神の発達を統括しており、12年周期で人間の精神性、つまり人間性というものを育んでいるのではないかといように考え、およそ次の様に考えることができるのではないか、と感じています
(第1段階) 0歳から12歳:精神性の基礎・土台となるものが確立される段階
(第2段階)12歳から24歳:世の中の古今東西の思想を学んで理解し吸収する段階
(第3段階)24歳から36歳:自分なりの人生観(人生哲学)や世界観などが確立される段階
(第4段階)36歳から48歳:確立された自分の人生観、世界観に基づいた生き方の実践を試みる段階
(第5段階)48歳から60歳:自分の人生観や世界観が反映された人生をはっきりと具体的に体現していく段階

およそ60歳で迎えるグレート・リターン期までに、木星は太陽を5周することになる訳ですけれども、”5”と言う数霊は、五体、五感、五臓、五指など、古来より人間と深い関わりを持ち人間そのものを表すものとして考えられていましたけれども、特に「五芒星」物質や肉体を統括する人間の精神の象徴として見られていたことを考えますと、木星が人間の精神を発達させる惑星であることとの明らかな強い相関性というものが感じられて非常に興味深く感じられるところです

先ほどの土星と同じように木星の周期につきましても、次のような図を考えてみることができるでしょう

ここに描かれている正五角形と五芒星と言いますののは、自然界の美と調和の法則を表す黄金比と密接な関わりを持つものであり、人体そのものを表しているとされていますけれども、人体というよりも実質的にはそれを統べている人間の精神性の象徴として見なければならない訳です

ということで、土星というのが人生の全体的な統括に強く作用しているのに比べまして、木星人間の本質的部分である精神の完成というものに強く関わっているということになりますけれども、人生を主体的な意志で創造していくに際しましては、この土星と木星という二つの惑星がそれぞれの周期でもたらす作用というものが人生の大枠を形成させていく力を持つということで、とりわけ強く意識されていることが重要ではないかと考えるところです

シュタイナーはその他にも、月の交点の18.6年周期、つまり占星術で言うところのノード・リターン人生に大きな意味を持つ、としているのですけれども、わたしは半月前にちょうどノード・リターンだったのですけれども、うっかりしていて忘れていました

ノードはわたしもそれなりに重要視しなければならないと感じている感受点ですけれども、集合意識に深く関わるものですので、事前に意識化していなかったことはむしろ大変よかったことになると感じられ、潜在意識の方ではそれが意識化されて顕在意識からの干渉を受けると、かえってマイナスに作用する可能性があることが予め分かっているので、敢えて意識にブラインドを掛けていたのだろうと思います

今回のわたしのノード・リターンの人生に与える大きな影響についての検証につきましては、何れかの時期に事後的に考えてみることとしたいと思います

あとは太陽が33年周期で大きな影響を及ぼすということにもシュタイナーは触れているようなのですけれども、おそらく黒点の11年周期に関わるものとは思いますけれども、現時点では詳細が分かりませんので割愛したいと思います

目的や理想を持つことの重要性

今日は人生の大枠の形成に関与するライフサイクルに的を絞って考えてみたところですけれども、人生というものを考える上で、今回考えましたような大局的な視点というものをまずは踏まえていませんと、結局のところ短いサイクルで起こってくる様々な目先の事象に振り回されることだけに終始する、無意味で混乱した人生展開となってしまう恐れがあります

また、そうした些末な出来事に左右されて、結果的に無意味な時間を過ごすことにならないように、ご自分の人生の目的や理想を持つということが非常に大切なこととなってくるでしょう

人生に目的や理想を持たなければ、意志というものを発現させる機会もありませんし、結局は運命の持つ宿命論的な流れに押し流されていくだけの人生となってしまうことになります

では、どのような目的や理想を持てばよいのか、ということですけれども、少なくとも唯物的、物質主義的な欲望ではなく、人間にとって最も普遍的な課題としてある、真善美すなわち誠と愛と調和を生み出していく、ということが意識されていればよいのではないかと思います

ホロスコープに向かうに際しまして、出生図に示されている自分の傾向なり能力なりというものを善用して向上的に生きることを志し、何かしら世の中や人に対して貢献出来るような人間として成長したい、という目的意識や理想を持つということになります

ホロスコープという神秘的なツールは、はじめからその様な形で利用されることを前提として人間に与えられているものであるとわたしは感じますし、そのように魂の向上を果たすという普遍的な課題意識を持つことではじめて、魂の羅針盤という人生のナビゲーション・システムとしてそれは機能してくるのだ、と言えるのではないでしょうか

物質主義的で自己中心的な欲望を叶えるという目的のために利用しようと思っても、おそらくあまり機能しないでしょうし、そうした生き方は魂を向上させるのではなく反対に堕落させていく方向性にあるものですので、天体配置を強く意識してそれらと人生とのリンクを強めることの結果として、むしろ節目ごとの土星から据えられるお灸が大変キツいものになってしまう、というような結果が招かれることになるのかも知れません

しかし、それでも何も目的を持たないということよりかは、多少は好ましくない目的であったとしても、それを持っていた方が増しである、ということが言えるかも知れません

それは、人間にとって本当の失敗と言えるのは、何事にもチャレンジしようとしなかったことである、と言えるからであり、本田宗一郎氏も『チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。』と仰っているところです

人間の生き方というものは、自分で決められる部分も勿論ありますけれども、多くは社会や周囲の人との関係性である程度選択肢が決まってきてしまうところもあります

ですので、現代のような唯物的なあり方が全盛の世の中にあって、いきなり生き方のすべてを変えろと言われてもそれは到底無理な相談というところでしょう

しかしほんの少しでもいいので、自分を活かすことで世の中や人の役に立てるような、そんな自分を作っていきたい、という気持ちを持ってホロスコープに向かっていただければと思います

こうした考え方を少しでも持つように心掛けていますと、唯物的な社会から強いられてる自己中心的で競争的な生き方の呪縛から、少なくとも精神的には完全に離脱してしまうことが可能です

何故なら、人や世の中のために生きるという価値観の中では、自分の容姿がどんなであろうが、学歴があろうとなかろうと、また収入が安かろうが貯金がなかろうが、老いぼれであろうが青二才であろうが、そんな風に自分がどんな人間なのかということが、一切関係ない世界で生きるということになるからです

自分のことではなく、人や世の中の方に焦点を当てますと、あらゆる自己中心的な競争的意識の呪縛から瞬時に逃れることができるので、わたしは今日の物質主義全盛の世の中にあって、魔法のような効果をもたらす考え方だと感じています

世の中や周囲の人からは、高い学歴を得ることや安定した就職先に就くこと、そして少しでも高い収入やステータスを得るようになど、様々な強いプレッシャーが掛けられているかも知れません

けれども、そういった世の中の流れに完全には呑み込まれてしまわずに、自分の心の世界の一部分では、多少なりとも気高く穢れのない美しい清らかな気持ちで理想を保つことを心掛けましょう

そうすればきっとホロスコープは、未来の展望を開いてくれる頼もしい人生のナビゲーション・システムとして、次第に機能するようになっていってくれることでしょう

 

ということで、今回は前回の続きとしまして、ホロスコープを活用するに際して前提となる最も基本となる大切な事柄について考えてみたところであり、できれば次回以降もこの続きについて書いていきたいと考えているところです

以上、多少なりとも参考になるところがありましたら、嬉しく思います 

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