風の時代の文化と経済 ~風の時代のガイドライン~
次の風の時代におきましては、これまでの物質主義的な文化から精神主義的な文化へとシフトするということを3年近く前からお伝えしており、このガイドラインにおきましては、新たな文化の創成に多くの方が早期に取り組むことによって時代の変革を促進し、すこしでも早く現在の混迷の時期を脱出できるようにとの意図で新しい時代に対する理解を深めることができるよう整理を試みているところです
過去の記事におきましては、前回の風の時代に相当すると考えられる鎌倉時代の文化について簡単に考察し、次のようにまとめたところです
総じて言いますと、人生とは何か、人は何故生きるのか、という事柄が、個々の人間のテーマとして明確に意識化され、生きることの価値の尺度として、様々な芸術論や歴史論、思想論が生み出された時代であったのだと思われるとともに、それまでは専ら国家体制の成立と維持に向けられていた関心が、個々の人生にも向けられるようになった時代ということが言えるのではないでしょうか。
と言うことで風の時代というのはやはり、人々の関心が思想や哲学、新たな価値尺度の創造など、より個々の内面的な方面の価値創造へと向かいやすい時代となるのではないか、と感じられます。
(参照:「前風の時代 鎌倉時代に発達した思想と哲学」より(2018年1月20日))
歴史を紐解きますとこの鎌倉時代に限らず、物質文化の側面においては常に西洋の先進性というものが見られる反面、精神文化の側面においては常に日本の先進性というものが感じられ、それは現在でも日本国民の民度の高さなどにも見て取れるところです
国民の民度というのはすなわちその国民の持つ精神性の高さを言う訳ですから、民度が高いとみなされるということは、すなわちその国民の精神性が高く進歩的であるという見方をして構わないのではないでしょうか
精神主義的なものとは
精神主義とは物質主義の対義語としてあるわけですけれども、物質主義については正しくそれは主義的なものの在り方であると言えますが、精神主義というのはむしろあらゆる主義的なものから脱却する傾向を持つものであり、個々に内在する固有の価値観に基づいて精神的なものを自然体で志向するもののように感じられます
物質主義的なものとは個性的なものを標榜しつつも結局は非個性化の方向に収束し、精神主義的なものは普遍性を求めた結果むしろ個性的な在り方にいきつくところがあるように感じられます
これは物質主義が見えるものをターゲットにしているのに対して、精神主義では見えないけれども精神の中に実在するものをターゲットにしているということに起因するのですけれども、分かり難い説明だったら申し訳ありません
精神主義的なものをこの日本に限定して語るのであれば、それは古来からの日本人の精神性である「惟神(かんながら)の道」に生きることであるとも言えます
日本的霊性というものが鎌倉時代に明白に顕現したと鈴木大拙は語りました
日本の禅文化を世界に広く知らしめた、明治から昭和にかけて活躍された仏教学者である鈴木大拙先生は、その著書『日本的霊性』の中で、「日本人の真の宗教意識、日本的霊性は、鎌倉時代に禅と浄土系思想によって初めて明白に顕現した」と提唱されております。
(参照:「前回の風の時代に確立された日本的霊性」2018年1月19日より)
ここでいう日本的霊性の確立といいますのは、外来の宗教様式がその時点において、日本人古来の精神性である惟神の道に沿った形において完全にジャパンナイズされた、ということを指すとわたしは理解しています
惟神というのは神の御心のままということであり、すなわち自然そのまま、大宇宙の法則そのままに在るということであり、宇宙の法則というのは万物が調和する在り方、すなわち聖徳太子が仰るところの和を以て貴しと為すということを意味するでしょう
日本は各時代において、その時代状況に合わせた形で様々な外来文化をジャパンナイズして来ましたので、風の時代においてはやはりそうした傾向が一層強まることになるでしょう
日本が和を重んじるような精神特性を持つに至っている理由には。大きくはふたつの理由があるのではないかと考えられます
それはひとつには、ルドルフ・シュタイナーが言及しているように日本が丸くなった四面体である地球の頂点に位置することにより、世界に起きたことは日本に起こり、日本に起きたことは世界に起こりやすいというように、世界の雛形となるべき地理的条件下にあることです
もうひとつは、天皇制の存在により、日本人が均質で緊密な霊的集団として結束された民族集団として存在しているということにあるでしょう
それらの条件によって日本においては天にあるものが地に顕現しやすい特質を持っており、精神界と物質界との間に比較的ダイレクトなつながりを持ちやすいと言えるのではないでしょうか
古来言霊の幸う国と言われるのも、言ったことや想ったことの影響が地に及びやすいそのような霊的土壌にあることと深く関係しているでしょう
一方で、万葉集の代表歌人である柿本人麻呂は「葦原の瑞穂の国は神ながら言挙げせぬ国」と詠んでいます
言挙げ(ことあげ)と言いますのは、自分の主義主張を殊更に言い立てたり論争するようなことが含まれていると感じられますけれども、何事も言向け和(ことむけやわ)して大同・和合を志す日本人にとっての自戒の精神が、この言挙げしない国という言葉に表現されているのでしょう
西洋では徹底的に自己主張をし合うことで、その中で最も優れたものが勝ち残っていくという流れにおいて思想や文化が発展しますので、必然的に合理性が重要視される中で物質主義的文化の傾向が強まることになりますが、日本はそれとは正反対の方向性の文化的特質を持っていると言えます
日本人として風の時代を生きるに際しましては、それらの事柄をまずは念頭に置いておくことが大切なように感じられます
文化と経済に影響を及ぼすもの
文化と経済がどのように形作られるかと言いますのは、その時代時代における人間の欲求の方向性によって決定づけられるということが言えるであろうと考えられます
これまでは物質的・肉体的次元における欲求の充足ということがメインターゲットとなり、それを満足させる方向性で文化と経済とが発展してきたということです
風の時代においては、より内面的な価値、すなわち物質的・外在的なものに拠らない純粋に精神が希求する真・善・美の充足への関心が高まることになるでしょう
ここで問題となってきますのは、精神文化的なものというのは経済的生産性を持ち合わせないということが非常に大きな課題として立ち上ります
風の時代において文化が形成されていく時、それは経済的に見て非生産的な側面での文化的傾向が強まるであろうということが言えます
しかしながら、これまでの物質文化において、全人類が等しく満足できるような基本的な生産体制はとっくに完成しているのではないでしょうか
問題は物質的充足が精神的充足をもたらすことは決してないという点と、格差が拡大する一方で本来十分に行き渡る筈の富が一部に独占されるに留まっている、といった点にあります
この問題の解決は実は至って簡単であり、ユニバーサル・ベーシックインカム(就労の有無に関わらず一定の生活費について政府が保障するというもの)が本格的に導入されればよいのです
すでに地球上における基礎的な生産体制は十分に整っているにも関わらず、生産物の消費形態と分配方法とに致命的な誤りがあると言わなければなりません
それらの点が改善されるのであれば、ユニバーサル・ベーシックインカムの導入というのは、現在達している経済的文化水準から言えば、比較的容易なのではないかと感じられます
このまま生産規模の際限なき拡大を目指していても、世界は環境の破壊や所得格差の拡大によって破滅の道にしか向かわないと何れ人類は明確に悟ることになるでしょう
そしてユニバーサル・ベーシックインカムの本格的な導入によって、人類は風の時代を彩る様々な精神文化を自由に伸び伸びと発展させることができるようだろうと考えられます
そのような社会制度改革は、風の時代の最初の20年の間に起きるであろうことは、水瓶座1度におけるグレートコンジャンクション、冥王星の水瓶座イングレスやその直後の冥王星と天王星によるトラインなどによって実現されることが予見されます
2026年の天王星の双子座イングレスについてはまだ検討を行っていないのですけれども、機械的自動化が飛躍的に進んで生産性が一気に高まる一方で、人間はあまり働かなくても済むようになるというように、経済活動が二極的に進展するのかも知れません
最後に
経済状況の現状は、コロナ禍の収束に見通しが立たない中、既に日本においてはGDPが戦後最大の落ち込みを見せている一方で、2月から3月にかけて歴史的な下落を見せた金融市場においては、意外なほどの急回復を見せて堅調さを保っているという、少々異様で理解しがたい動きを見せています
わたしは昨年末の日食に際してリセッションが必ず起こると書きましたし、個人的には2月か3月にそれは起こると予見し、それを機会にこれまでの市場経済は根本的な変質を迫られることになるだろうと考えていました
現在の平均株価の回復ぶりにつきましては、既に経済の実態をまったく反映しておらず、金融市場は実質的に破綻してしまっているのではないかと個人的には考えています
コロナ禍による経済的打撃に対して市場に供給されている通貨供給量は、まずは金融市場に対する買い支えとして供給されたものの他、国民の生活や商売に対する支援として供給されたものがあり、加えて中国の軍事的脅威が逼迫していることから、今後は軍備増強のためにも国債が発行されるであろうことが予想されます
市場に供給される通貨供給量のこのような異常な多さは、やがて法定通貨の信用を崩壊させることにつながるだろうと考えており、現在の平均株価水準というのは実態からはまったく乖離した、異常な通貨供給量に基づく極端な水ぶくれに過ぎないのではないか、とも感じられます
年末のグレートコンジャンクションが間近に迫った今となって、コロナ禍によってもたらされる生活スタイルの変質は、そのまま経済の質を大きく変質させることになるものと考えるのが妥当なところであり、経済規模は以前のような状態に戻ることはないままに経済の質そのものが大きく変質していくことになるのではないかと感じています
時代の変革に際して新しいものをどのように生み出していくかは、ひとえに人間の主体的意志に委ねられている問題でありますので、個々がそれぞれの立場において見出していかなければなりません
しかしながら多くの人々の意識は未だに時代の変革に抗う方向性に留まっていると感じられるところであり、そのことは7月の都知事選に際しても強く感じられたところです
そうしたことに関しましては、今年1月10日に書いた記事の時点においても、次のように批判的な形で予め意見を述べていました
今年予想される大変革というのは、これまでに人類が築いてきたものを土台にして文化を継承しながら新しい形へと発展していく性質のものにほかなりません
しかしながら、捉え方によってはそこに旧い時代の滅び行く姿という側面ばかりを悲観的に感じ取る人というのもいるのでしょう
新たなるものを自身で創造する能力を持たない人間というのは、常に過去にしがみついて変革を恐れる存在とならざるを得ず、そうした人種というのは要するに自分の天下が永遠に続いて欲しいというような極めて自己中心的なエゴに捕らわれた考え方をしているのだということになるでしょう
(参照:「満月のサビアンシンボル(1/11) 山羊座・蟹座21度の軸&1/13の冥王星と土星の合」2020年1月10日)
また昨年末の記事におきましても次の様に記しています
もう何時何が起きても不思議ではないという状況が、天体的に見ても現実的に見ても既に調っていますけれども、古い滅び去るものに対してではなく、新たに生まれ来るものの方に目を向けることが大切なのであることを忘れてはならないでしょう
年が明けてからは、いよいよ中国に何が起きるか、に注目をしなければなりません
(参照:「新月のサビアンシンボル(12/26)~山羊座大会合の日食~」2019年12月22日)
大きく意識を変えるべき時期がいよいよ来ているのだという認識が、より広い人々の間で深まらなければならず、そのことは今迎えている困難がどれだけの程度、どれだけの期間続くかということに直結していくことになるでしょう
あまり耳に痛いような事柄に言及することは避けたいものですけれども、上で引用した柿本人麻呂の歌は次の様に続きます
「葦原の瑞穂の国は神ながら言挙げせぬ国 然れども 我は言挙げす・・・」
また、本居宣長は次のように詠んでいます
「言擧せぬ 國にはあれども 枉説(まがごと)の 言擧こちたみ 言擧す吾は」
誤った言説には我慢がならないのでわたしは敢えて言挙げしますよ、ということです
困難が早く過ぎ去って欲しいのは誰でも同じことですけれども、人間が病気を煩った際にもそうであるように、そうした事態に至ったことの意味を深く内面で悟ろうとしないと、病気は長引きますし何度でもぶり返してしまうものです
以上、ご参考になりましたら幸いです